宮島民俗行事たのもさんについて

行事

たのもさん

たのもさん

たのもさんは、宮島の人たちが農作物に感謝するお祭りです。

感謝の気持ちを表す方法として、対岸のお稲荷さま(食べ物や農業の神さま)に向かって美しく飾り付けをした"たのも舟"を流します。

なお、宮島には稲荷神社が存在しないため、対岸のお稲荷さまに感謝の気持ちを表すようになったわけです。

▼日時

毎年 旧暦 8月1日 2024年 9月3日(火)

▼スケジュール

時間 場所 内容
18時ごろ 紅葉谷公園 たのも舟集合
20時ごろ 嚴島神社 火焼前
御笠浜
西松原 ほか
たのも舟を大鳥居に向かって流す

※帰りのフェリー(宮島→宮島 航路)は以下リンクよりご覧ください。

»JR西日本宮島フェリー »宮島松大汽船

※平成21年(2009年)、文化庁の「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に指定されました。



たのもさんの由緒・内容

かつての宮島では農業が禁じられており、農作物が手に入りづらくとても貴重なものであったため、宮島町民の農作物への感謝の気持ちはとても強いものでした。

その感謝の気持ちが形となり、民俗行事化したものが「たのもさん」です。

内容を簡単に言うと、

  • 各家庭から、町民手作りのたのも舟が紅葉谷公園に集められる
  • 嚴島神社の神主さんのお祓いを受ける
  • たのも舟を対岸のお稲荷さま(農業の神さま)へ向かって流す

というものです。

紅葉谷公園に集められるたのも舟は、毎年ゆうに100隻を超えます。

本来は神事的な面が強い催しですが、現在では町民の娯楽的な意味合いも持っています。

夜涼みもかねて集まり、舟を見て楽しみ語り合うのは、宮島町民の夏の楽しみのひとつです。

なお、数10年前までは、たのも舟は対岸大野町の漁船や農家の人たちに拾い上げられ、五穀豊穣や大漁の縁起物として田畑の畦などに供え、農作物の豊作や大漁祈願が行われていましたが、現在は廃れてしまいました。



たのもさんの由緒・内容

毎年 旧暦 8月1日です。

この日時になったのは、農産物の収穫時節や潮の状態・風の方向などを考慮したものと思われます。

うまく対岸に向かって舟が流れるようにするには、潮や風の条件が整うことが不可欠だからです。

余談ですが、徳川家康が江戸城に入ったのが旧暦8月1日で、江戸時代は八朔の祝儀が重要な儀式となっていました。
この日に物品の贈答をしてお祝いする風習があり、一般にもこれを倣うようになったと言われ、その影響もあって旧暦8月1日にたのもさんが行われるようになったと考える人もいます。



たのもさん舟のつくりかた

たのもさん

たのもさん

たのもさん

木製の台舟に、お稲荷さまへの感謝の気持ちを込めつつ、それぞれの作り手が独自の飾り付けをします。

古くから、団子で作った人形を乗せる人が多いです。新米の粉で練った三角錐の団子の人形(高さ2cmほど)に、次のような飾り付けをします。

  • 色紙で深編笠を作ってかぶらせる
  • 肩から腋下に細長い色紙を貼ってたすきをかけさせる
  • 長方形の色紙を縦長に貼って前掛けにする

細長い板の上に並べる団子人形は、家族や親戚の数とし、その左右に団子の犬や胴長の太鼓を置いたり、大吉と書いた幟を立てたりします。

このほか、作り手によって次のように好き好きに舟をデザインします。

  • 色紙や千代紙でカラフルにする
  • 管絃祭の御座船をまねたデザインにする
  • もみじ饅頭や牡蠣など作り手の商売にちなんだ小道具を作って乗せる

たのも舟の完成には、だいたい2~3週間をかける人が多いです。